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あなたの作りたい本はどのタイプ? ~並製本・上製本編~


今回は製本種類の中で大きく2つに分けられる、並製本と上製本についてご紹介します。
IMG_0970.JPG

 
◆目次◆
 
並製本について
1.種類
2.工程
 
上製本について
3.種類
4.工程

 


 
並製本について
 
並製本は上製本に比べて、簡易的な製本方法になります。
そのため生産コストが安く、短時間で製本できるのがメリットです。



1.並製本の種類
 
並製本には主に4種類の製本方法が用いられます。
 
①中綴じ
→2つ折り用紙の中心部分に針金で留める方法です。
 ノド(中心部分)まで開くことができますが、耐久性には欠けます。
 カタログやパンフレットなど枚数の少ない製本に最適です。
 
②平綴じ
→折った用紙を重ねていき、背の部分を針金で留める方法です。
 頑丈に作ることはできますが、ノドまで開くことができません。
 参考書や説明書などの少し厚めの製本に向いています。
 
③無線綴じ
→上記2つと異なり、針金を使わずに糊で接着をして製本する方法です。
  ミーリング※をするとより丈夫な本をつくることができます。
  厚手の雑誌や週刊誌など様々な用途に使われています。
 
※ミーリングとは・・・背の部分に少しキズを付け、糊付きを良くする方法です。
 
↓中綴じ平綴じについては、過去のブログにも掲載しています☆↓
 
④アジロ綴じ
→無線綴じと同じ糊付け製本ですが、より強度のある製本ができる方法です。
 背の部分にスリットを入れて糊付けをするのが特徴です。
 こちらの製法は上製本でも使われることがあります。
 
アジロ綴じ.png
※画像は、書籍「製本加工ハンドブック(日本印刷技術協会様 編・著)」より転載。


 
2.工程
 
今回は無線綴じの工程を簡単にご紹介します☆
 
①印刷した紙を折る
ページ順になるように折っていきます。
 
②本文を丁合
折った紙を丁合し、本文(本の中身)を作ります。
 
③本文の背部分をミーリング
丁合した本文の背に糊付きを良くするためのキズを付けます。
 
④背部分に糊付け
本文の背にキズを付けたら、ホットメルトという糊を塗っていきます。
 
⑤表紙付け
本文に表紙を貼り付けます。
 
⑥断裁仕上げ
天、小口、地と呼ばれる三方を仕上げ寸法に断裁し、キレイにします。
 
⑦完成
 
 
 
上製本について
 
並製本よりもしっかりとした表紙を使用し、本文と表紙を別々に作った後に貼り合わせます。
上製本は作業工程が多いので、コストと時間がかかってしまいますが、
頑丈な造りなので、壊れにくく長持ちします。
 
上製本.png
※画像は、書籍「製本加工ハンドブック(日本印刷技術協会様 編・著)」より転載。
 
アルバムや辞書などの製本で使われているのが上製本です。
表紙は布や皮等を使用するので、高級感のある本を作ることができます。

 
 
3.上製本の種類
 
製本方法は、主に糸かがり綴じという方法でしっかり綴じます。(アジロ綴じを用いる場合もあります。)

糸がかり.png
※画像は、書籍「製本加工ハンドブック(日本印刷技術協会様 編・著)」より転載。
 
 
上製本の背の部分は「角背」と「丸背」の2種類があります。
名前の通り、角背は背の部分が平らになっており、丸背は丸みを帯びた背になります。
 
また上製本の背は3種類あります。
 
 
 
①ホローバック
→背の部分が空洞になっています。
 本を開くと本文が浮き上がる為、見やすくなります。
ホローバック.png
※画像は、書籍「製本加工ハンドブック(日本印刷技術協会様 編・著)」より転載。


 
②タイトバック
→背の部分と本文が接着されています。
 接着されているので丈夫ですが、開きにくいのがデメリットです。
タイトバック.png
※画像は、書籍「製本加工ハンドブック(日本印刷技術協会様 編・著)」より転載。


 
③フレキシブルバック(丸背のみ)
→背の部分と本文が接着されており、背には柔らかい素材が使われています。
 背が柔らかいので開きやすいですが、壊れやすいのがデメリットです。
フレキシブルバック.png
※画像は、書籍「製本加工ハンドブック(日本印刷技術協会様 編・著)」より転載。
 
それぞれメリット・デメリットがあるので、予算や用途によって使い分けましょう♪

 
 
4.工程

今回は糸かがりの工程をご紹介します☆
 
①印刷した紙を折る
ページ順になるように折っていきます。
 
②見返し紙を貼る
本文と表紙を貼り合わせるための紙を最初と最後のページに貼ります。
 
③本文を丁合
折った紙を丁合し、本文を作ります。
 
④糸綴じ(かがり)
丁合した本文の背に糸を通し綴じていきます。
 
⑤下固め
綴じた本文の背に糊を付け固めます。
 
⑥断裁仕上げ
天、小口、地と呼ばれる三方を仕上げ寸法に断裁し、キレイにします。
 
⑦スピン入れ
細いヒモ(スピン)を本文にはさみ、背に固定します。
※スピンはしおりのことです。
 
⑧丸出し
型に当てて背に丸みをだします。
 
⑨表紙付け
本文の見返し部分に表紙を貼り付けます。
 
⑩本に圧力をかける
最後の仕上げに圧力をかけます。
 
⑪完成
 
上製本は並製本よりも工程が多く、より丁寧に作られるのが分かります。




 
製本とひとくくりに言っても様々な種類があります。
本文の厚さや用途、予算に合わせて製本方法を使い分けるといいですね♪
 
以上、上製本・並製本についてのご紹介でした☆
 
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タグ:製本 , 綴じ