
「綴じる(とじる)」「製本する」とひと口に言っても、様々な綴じ方があります。

今回は「綴じ機(製本機)」についてご案内します。
一般的に綴じ機は、紙の束を綴じる機械自体を指します。
対して製本機は人によって解釈が異なるのですが、綴じ機と同義語として扱う場合と、製本作業を一手に行えるもの…つまり綴じる工程以外(前加工や断裁など)も一連の流れで行う大型の製本ラインシステムを指す場合などがあり、範囲の広い呼び方と言えます。
綴じ方は機械によって異なります。
ホチキス留めをする機械もあれば、本のように接着剤でくっつける機械もあります。
主な”綴じ”の種類を3つご案内しましょう。
<平綴じ(有線綴じ・針金綴じ)>

※画像は、書籍「製本加工ハンドブック(日本印刷技術協会様 編・著)」より転載。
簡単に申しますと、普通のホチキス留めです。
文房具のホチキスで行うように、重なった紙束を上下から挟み込むように留めることを「平綴じ(ひらとじ)」と言います。
・2か所で留める平綴じ

・一か所で留める平綴じ(片綴じ)

<中綴じ(有線綴じ・針金綴じ)>

※画像は、書籍「製本加工ハンドブック(日本印刷技術協会様 編・著)」より転載。
同じホチキス留めですが、こちらは雑誌などで見られる留め方です。
一面に2ページ分を印刷した紙の束を二つ折りし、その折り目に沿って留めます。
文房具のホチキスでは難しい留め方です。

<無線綴じ>

※画像は、書籍「製本加工ハンドブック(日本印刷技術協会様 編・著)」より転載。
小説や辞書などの一般的な本で使われている、接着剤や接着テープによる綴じ方です。
ホチキスでは挟みきれない分厚い紙束も、ある程度までなら無線綴じで留めることができます。
※機械によって対応できる厚みは異なります。
この無線綴じの方法にも様々な種類があります。(くるみ製本、テープ製本、天のり製本)
天のり製本:断面に接着剤を塗布するだけの製本。
テープ製本:接着テープで断面をコの字に包むように製本する。つまり接着テープが背表紙になる。
くるみ製本:表表紙・背表紙・裏表紙が一枚に繋がった表紙を、本文をくるむようにくっつけて製本する。
・糊による無線綴じの様子(くるみ製本)

・接着テープによる無線綴じの様子(テープ製本)

さて、上の各綴じ機の動画をご覧になって気づかれた方もいらっしゃるかもしれませんが、
ステープラー(ホチキス)タイプの綴じ機に関しては、単体で使う機械と、「丁合機」という機械に繋げないと動かせない機械があります。
ここで、
「それは当然、単体で使う方が良いよね。」
と思われた方。
「丁合機」が何をする機械なのかご説明しますので、それからご検討ください。
丁合機とは、紙をページ順に重ねてくれる機械です。
つまり丁合機に取り付けることでどうなるかと申しますと、
丁合機がページ順に重ねた紙の束を一部ずつホチキス留めしますので、一気に2つの工程を自動化できるということです。
いつも大量の冊子を作る際に、人の手でページ順に重ねてから留めているという方には、便利ではないでしょうか。
<丁合機と綴じ機を合体させれば、二つの行程が自動化可能↓>

丁合作業が不要という方は、単体で使える綴じ機の方が場所を取りませんし、よろしいかと思います。
ですが、丁合作業も自動化したい方は、丁合機とセットでのご購入も検討されてはいかがでしょう。
※価格は単体で動かせる方が高いとは限りません。メーカー、機能、年式などによって変わります。
また、製本加工を行うと紙束の縁がいくらかずれるため、販売したり第三者に配布する場合には、製本の強度(持ち)、見た目、使い勝手をよくするために「化粧断裁」という行程を製本後に行います。
化粧断裁とは、製本した紙束の長辺と短辺を削ぐように切り落とすことで縁を揃える作業です。
販売用の製本を検討されている方は、製本機のほかに断裁機のご購入も必要になるかと思いますのでご注意くださいませ。

※画像は、書籍「製本加工ハンドブック(日本印刷技術協会様 編・著)」より転載。
<初心者向け中古機械販売サイト「カミカッコー」に掲載中の製本・綴じ機器一覧>
https://www.kamikako.com/list/category-manufacture/bookbinding/
<初心者向け中古機械販売サイト「カミカッコー」に掲載中の断裁機器一覧>
https://www.kamikako.com/list/category-manufacture/cutting/
※当記事の掲載にあたり、書籍「製本加工ハンドブック(日本印刷技術協会様 編・著)」より、平綴じ、中綴じ、無線綴じ、化粧断裁の図を引用させて頂いております。